8月28日、新潟県の泉田裕彦知事が外国特派員協会で行った会見で、記者団からの質問に答えた。しかし9月27日には、再稼働の申請に条件付きで認めることが報道された。では、その真意はどこにあるのか、あらためて8月の会見のうち、約1時間の長時間にわたって非常に厳しい質問の飛び交った中で泉田氏の語った言葉を見てみたい。
→第一回 泉田知事「柏崎刈羽事故のときに、積極的に発言しなければ福島事故で東京は壊滅だった」
――柏崎刈羽原子力発電所の再開には反対であると聞いているんですが。
泉田 現状においてですね、まず検証と総括をして、そのうえで判断すべきだと考えています。
――反対ではないのですか?
泉田 今ほど申し上げた通り、まずですね、事故の検証と総括をしたうえで議論をすべきことだと思っております。
――本日はなぜあえて外国人に対してだけ(注:この記者会見が行われたのは日本外国特派員協会である。)語っているのでしょうか。国内では支持を得られないからでしょうか。
泉田 まずですね、柏崎市と刈羽村の状況をご説明したいと思います。柏崎市は、規制基準の適合申請をすることは認めるが、再稼働議論は別の話ということを主張しております。刈羽の村長は安全が確認されれば再開すべきと言っております。市、町とも今の段階で動かしてくれということは言っておりません。今日ここで語っているのはですね、お話をしてほしいと要請があったものに応えたものです。(外国人記者ら、笑)
――東電の株主が誰かについての質問をしたいと思います。柏崎の再稼働に関してなにか、もし国有化されれば、その影響はあるでしょうか。
泉田 事実関係でいいますと、現在のTEPCOの株の50パーセント以上は国が持ってますので国有化されているものと思っております。ただ社長の頭の中の9割が賠償と資金調達という状況で安全運転できるかについてはやはり心配が残ります。従いまして、やはり安全運転と健全な系ができる体制をつくるために、破たん処理を一度するというのも選択枝のように考え始めています。
――甘利内閣府特命担当大臣(経済財政政策)と行われた話し合いはどのようなものだったんでしょうか。そして、再稼働に関しまして彼はどのように反論されていたか。またそれに対しまして知事は対応されたんでしょうか。
泉田 甘利大臣にはですね、今日皆さんにお話ししたような懸念事項をお伝えをしました。実は甘利大臣ですね、この2007年の中越沖地震が起きた時の経済産業大臣でおられます。従いまして、私がオーダーした時にそれをアクセプトしてくれたのが甘利大臣です。従いまして、甘利大臣とお話しをしたときに、私が何を懸念していることについてはかなりご理解いただけたと思っています。
しかしながら時間がなくて、やり取りというのは十分できずに終わった会談でした。そして、甘利大臣自身、現在この原発政策の責任者ではありません。私の懸念を伝えたいというお話もいただきました。従いまして、私は本来の責任者である原子力規制委員会と十分な議論をしたいと思っております。